道の駅についての貴重な資料を入手!
道に駅の説明書
今回道の駅の開設当初に携わった方の本を見つけました。
この本には道の駅の意味や理由が詳細に書かれています。
道の駅が作られたのが27年前、その2年後にこの本が出版されました。
当時の建設省(現在の国交省)の承諾を得て作られています。
道の駅 (建築設計資料)
※Kindle版では序盤の道の駅について休憩機能や地域振興機能など項目に分けて書かれている部分を試し読みすることも出来ます。
道の駅とは
まず「道の駅とは」と題して、「①道の駅の発想②道の駅の原点③道の駅の登録・案内制度」の3つの小題で、道の駅がなぜ作られたのか、何が求められるのか、どうやて作られるのか、などについて書かれています。
この中から重要だと思う部分を抜粋します。
①道の駅の発想
自動車による旅行(近距離、遠距離を問わず、また通勤業務などの全交通を含めた人や車の移動を旅行と呼ぶ)が一般化している中で長距離や夜間の旅行は増加しているし、女性や高齢者のドライバーも増加している過労運転の防止や快適な旅行の為に、安心感清潔感を持ちまた十分寛げる良好な環境を持った質の高い休憩施設の整備が不可欠である(道の駅 「建築設計資料」4pより抜粋)
道の駅のHPの「道の駅とは」には長距離ドライブとだけ書いてあり、それがどういうものなのかいまいちわかりませんでした。
しかし、この本には
「自動車による旅行(…通勤業務などの全交通を含めた人や車の移動…)が一般化している中で長距離や夜間の旅行は増加しているし…」
とあります。
今まで「旅行(行楽)での道の駅での車中泊はダメなんじゃないか」と不安に思い道の駅を利用することが出来なかった方にも、安心して道の駅で休憩仮眠の車中泊をすることが問題ないとわかっていただけたかなと思います。
②道の駅の原点
「簡易パーキング事業」建設省(国交省)が特定交通安全施設など整備事業の一環として整備を進めている主要な幹線道路における夜間運転や過労運転防止のための路外駐車施設である(道の駅 「建築設計資料」5pより抜粋)
道の駅の駐車場はこの簡易パーキングです。
「夜間運転や過労運転は危険なので、無理に運転せずに簡易パーキングでしっかり休んでね」ということです。
交通事故を減らす目的で、夜間運転や過労運転防止のための施設づくりをどんどん進めていこうという事業です。
※簡易パーキングについては以下の記事でも説明しています。
道の駅の機能
次に「道の駅の機能」と題して、「①道の駅の基本概念②休憩機能③情報機能④地域振興機能⑤連携機能⑥夜の道の駅」の6つの小題で道の駅の機能について細かく書かれています。
この中から重要だと思う部分を抜粋します。
①道の駅の基本概念
交通の機能を考えるとそれは第一義的には目的地に到達することである(道の駅 「建築設計資料」6pより抜粋)
これは2013年からはじまっている『道の駅自体が目的地』という道の駅の第2ステージにもなっています。
因みに現在は第3ステージで
「『地域創生・観光を加速する拠点』へ+ネットワーク化で活力ある地域デザインにも貢献」
となっています。
交通は場の効用を高める行為である、道路利用者にとって通過する地域は自らが関心と責任を持たないという意味で外部空間である道路利用者は、旅行の安全や快適さのみならず旅行の過程において様々な知識や体験を得ることを望んでいる(道の駅 「建築設計資料」6pより抜粋)
通過するだけではなく、その地域で様々な体験をしてほしいと言っています。
②休憩機能
道路利用者にとって疲労回復や生理現象解消のための定期的な休息は不可欠である道の駅が出来る前は夜間、休憩などのため路上に駐車中の車両にバイクや自動車が追突する事故が少なからず発生している我が国の道路設備では走行施設としての道路整備に追われ駐車場や休憩などのターミナル機能については受益者側が整備すべきものとして一般道路では道路管理者による整備は行われてきていなかった一般道路においても疲労や眠気を感じたときのための駐車施設やトイレが整備されることは交通安全上また道路利用の快適性を保つうえでも必要であることはいうまでもない特にこのような施設は「何キロ走れば必ずある」という安心感がある場合効果が大きく道路系統に沿って体系的に整備される意味の大きい施設である道の駅の休憩機能は、道路利用者に安全と快適性を提供する役割をもちこのことが道路管理者が道の駅の設置に関与する根拠となる安全面から見ると自動車を道路外に安全に駐車し疲労回復や仮眠などをとる駐車施設が基本的な機能となる(道の駅 「建築設計資料」7pより抜粋)
何度も言っていますが、道の駅の駐車場はデパートの駐車場とは違います。
道の駅の駐車場には休憩したり寝たりする機能があります。
車内での飲食や幼児のオムツなどのゴミは自宅まで持ち帰ることが望ましいが、現実には旅行途中で処理される、そして適切なゴミ収集施設がないと道路上などに投棄されている(いわゆるポイ捨て)道路清掃や道の駅自体の清潔さを保つ見地からゴミの収集は積極的に進めることが必要であろう(道の駅 「建築設計資料」7pより抜粋)
25年前にも上記のようにゴミの問題が予測されています。
現実にはゴミを回収しているところもあるけれど、していない所も多いです。
国と管理者が総力を挙げて取り組むべき問題だと思います。
自動車は身体障がい者、高齢者、幼児などの弱者を連れた旅行手段として適している現状(当時)ではドライブインなどではこれらの弱者に利用できるトイレなどを設備されていることは少ない道の駅の休憩施設は誰もが安心して利用できることが一般のドライブインとの差別化要因となる。道の駅の休憩施設はドライブインやガソリンスタンドが閉鎖した夜間に特に重要であり道の駅の認定に当たっては24時間使用可能なトイレが設置されていることが条件になる(道の駅 「建築設計資料」7pより抜粋)
ドライバーが快適に休憩出来ない環境を作ってはダメだと言っています。
そして、「休憩出来る施設がこの先に必ずある」という安心感がとても重要です。
なので「車中泊禁止やご遠慮」、「長時間の駐車は禁止など」と掲げている道の駅は、快適に安心して休憩出来る環境では無いのでダメです。
快適に休憩させることが道の駅の責務です。
⑥夜の道の駅
夜間交通量は道路系統によって異なるが昼間の混雑を避けた交通配達時間の指定されたトラック、スキー場など行楽地に朝着こうとする交通など全体として増加していると考えてよい(道の駅 「建築設計資料」12pより抜粋)
スキー場や行楽地に行くのに、朝に合わせてみんなが出発してしまうと、道路円滑が止まってしまうので、夜のうちに出かけて、近くの道の駅で仮眠休憩をして朝からスキーや行楽を楽しむという考え。
夜間にも使用可能な休憩施設の体系を整備することは道路管理者側の責務である、夜間は走行が円滑であるだけに運転が長時間連続になりがちであるため早めに休憩する気を起こさせる施設づくりが必要である、この意味で休憩施設があるということが事前に予告されていることや夜間の視認性の高い施設であることが重要であるまた安全で快適な休憩を取れることが察知できるような施設でなければならない(道の駅 「建築設計資料」12pより抜粋)
これが私が活動させていただいている部分です。
「車中泊禁止、ご遠慮」「長時間の駐車禁止」
これは道の駅の役割ではありません。
本来なら、快適に休憩させないといけないのに、なぜこんなことになるのか。
道の駅の夜の機能は休憩であるためこの機能に限定した構成となるし夜間は無人施設であることが想定される(道の駅 「建築設計資料」12pより抜粋)
車中泊(車内で夜を過ごす)の為に作られた施設であるということです。
本が出版された当時は「車中泊」という言葉が普及していなかったので、車で寝るや夜間利用などの言葉が使われていると思いますが、車中泊とは自動車(車)の中で夜間を過ごすというのが一般的な定義です。
なので道の駅は車中泊(車中での休憩や仮眠)の為に作られたということです。
まとめ
今回この資料を見つけて、今まで言ってきたことが更に明白になったと感じました。
私が今まで言っていたことが全くの間違いだという方にこの本をしっかりを読んでいただきたいです。
道の駅の駐車場は簡易パーキングと言って、交通事故を減らす為に夜間運転や過労運転を防止する為に作られた施設です。
ここで車中泊(車内で夜を過ごす)することは何ら問題ありません。
車中泊をして心身の疲労を回復し安全運転に努めてください。
そして道の駅はプロのドライバーの方だけが車中泊していい施設ではなく、行楽目的の方も想定して作られています。
道の駅を利用し、その地域で様々な体験をして、地域に貢献していければよいのではないでしょうか。
そして、みんなが気持ちよく使えるようマナーやモラルをまもり、危険行為、犯罪行為はしない、というのが利用する側の責務だと思います。